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「あなたの血糖値はいくつですか」 東海市民病院 糖尿病教室委員会
  
「あなたの血糖値はいくつですか」
中央臨床検査科  係長 高橋 実
第55回 糖尿病教室(平成15年7月28日 東海市民病院)
イラスト 顕微鏡

  
1.糖尿病の診断のための検査
  
(1)尿糖検査
 尿糖検査は診断のためのひとつの目安になる
   ブドウ糖は体にとって大切な栄養分ですから、健康な人の場合、尿に糖があらわれることはありません。しかし、糖尿病だと血液中に使われずにいるブドウ糖が多くなり、その分が尿糖として排泄されてくるのです。

 尿糖検査は市販の試験紙を使って、だれでも手軽に測定できるので、一番身近な検査となっています。ただ、尿糖は通常血糖値が170mg/dl以上にならないと検出されません。糖尿病でも空腹時血糖値が170mg/dl未満になっていることがあり、高齢者の場合は腎機能の低下で、170mg/dlよりさらに高くなっても尿糖が出ないケースもあります。

 このため尿糖が出ていないことだけで、糖尿病がよくなったとか、血糖コントロールがうまくできているなどの判断はできません。
イラスト 尿カップ
  
(2)血糖検査
 血糖検査は診断の大きなてがかりになる
   血糖検査でわかるのは、検査した時点の血糖値です。

 この後で解説するHbA1Cなどが、ある一定期間の血糖コントロール状態を反映するのに対し、血糖値は血糖レベルの瞬間値といえます。

 血糖値は食事や運動、ストレスなどによって大きく変動します。理想的な血糖コントロールとは、できるだけ健康な人と同じ血糖変動に近づけることです。
 
 日本糖尿病学会の診断基準
空腹時血糖値126mg/dl以上 イラスト 注射器
ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dl以上
随時血糖値200mg/dl以上
のうち、いずれかがあてはまる場合を「糖尿病型」と定めています。
(3)ブドウ糖負荷試験
 ブドウ糖負荷試験は血糖値の変化をみます
   ブドウ糖負荷試験は、糖尿病かどうかを診断するための手段です。
 血糖値の時間の経過による変化を観察し、判定の基準をあてはめて糖尿病かどうか調べます。
 方法は、まず空腹時の血糖を検査し、その後75gのブドウ糖を飲み、30分後から2時間後まで血糖値の変化を調べます。
 この検査では、空腹時の血糖値が126mg/dl以上、もしくは2時間後の血糖値が200mg/dl以上の場合に、糖尿病型判定されます。
  
 
  グラフ 糖尿病の診断基準 
   

  
2.糖尿病の状態を調べる検査
  
(1)ヘモグロビンA1c検査
 ヘモグロビンA1cで1〜2ヶ月前の血糖値がわかる
   ヘモグロビンとは、
 血液の赤血球に含まれるたんぱく質の一種で、酸素と結合し全身の細胞に酸素を送る働きをしています。血糖値が高いと、血液中のブドウ糖がヘモグロビンに結合し、グリコヘモグロビン(HbA1c)というものに変わります。
 HbA1c検査は、ヘモグロビンのうちグリコヘモグロビンに変わっているのがどのくらいあるか、その割合を調べる検査です。
  
 HbA1c検査が重要な理由
   HbA1c検査は血糖コントロールに関する検査の中で、一番長い間のコントロール状態をあらわす指標です。糖尿病は高血糖状態が続くことでおきる合併症が怖い病気ですから、長期間のコントロール状態がわかるということは、治療上、非常に大きな意味をもっています。 治療の目標値
5.8%以下は優
5.9〜6.5%は良
6.6〜7.9%は可
8.0%以上は不可
 
(2)グリコアルブミン検査
 グリコアルブミン検査で1〜2週間前の血糖値がわかる
   グリコアルブミンとは、血液中のアルブミンというタンパク質が高血糖にさらされるとブドウ糖と結合して生じる物質です。
 グリコアルブミンの量を調べることで、血液中にブドウ糖がどの程度増加しているかを間接的にとらえることができます。
治療の目標値
18.0%以下は優
18.1〜21.0%は良
21.1〜24.0%は可
24.1%以上は不可
 
(3)1.5AG検査
   1.5AG検査(1.5−アンヒドログルシトール)は、健康ならほぼ一定の値を示し、尿糖の排泄に影響され減少するため、血糖コントロールの検査の中で唯一、値が高いほうがよい検査です。
 血糖コントロールに対しては、グリコアルブミンよりもさらに敏感に反応し、それでいて血糖値のように食事や運動に影響されない、過去数日間の指標となります。
治療の目標値
14.0μg/ml以上は優
10.0〜13.9μg/mlは良
3.0〜9.9μg/mlは可
3.0μg/ml以下は不可
 
(4)C−ペプチド検査
 C−ペプチド検査でインスリンの分泌能力がわかる
   C−ペプチド検査とは、膵臓のインスリンの分泌量を推測する検査です。特にインスリン療法を行っている患者さんに適しています。
 ところで、膵臓ではプロインスリンという物質が分解してインスリンが作られます。その分解の片方にできるのがC−ペプチドです。インスリンとC−ペプチドは、ほぼ同じ割合でいっしょに膵臓から血液中に分泌されます。そして、ある一定部分のC−ペプチドは体内で分解されず、ほとんど尿に排泄されます。このため、尿の中のC−ペプチドの量を調べれば、インスリンがどれだけ分泌されたかを推測することができるのです。
 
(5)尿ケトン体検査
 尿ケトン体で糖尿病の進みぐあいがわかる
   ケトン体は、インスリンの作用不足でブドウ糖をエネルギー源として使えないとき、からだが脂肪分をエネルギーに変換しようとする結果、発生する物質です。
 ケトン体検査は、1型糖尿病ではとくに大切な検査です。
 

  
3.合併症を調べるための検査
  
 糖尿病でいちばん怖いのは合併症です
 糖尿病の三大合併症の対策
  1 糖尿病性網膜症 → 眼底検査
  2 糖尿病性腎症 → 尿中微量アルブミン検査
  3 糖尿病性神経障害 → 腱反射テストなど
   合併症の多くは動脈硬化などの血管系統の障害によって起こるので、血圧やコレステロール、中性脂肪、心電図などの検査も大切です。
 

  
4.血糖自己測定はどう測るのか
 
★血糖測定を行う場合、ポイントがふたつあります
  コントロールの状態をチェックするために、1日24時間の血糖の動きを知る必要があること。
  血糖は、食事、運動、ストレスなどで大きく変動するため、とくにこれらの影響を中心にチェックすること。
★自己測定のメリット
  日常生活と血糖値の相関関係が、リアルタイムでわかる
  きめ細かい適正なコントロールができる
  インスリン療法が、在宅でもできる
  急性・慢性の合併症の進展を防止できる
  コントロールへの信頼感が増す
  通院回数や入院を減らすことができる
  病気に対する理解が深まり、治療への意欲がわく
  日常生活の質が向上し、行動半径が広がる
 

  
定期的な検査を忘れずに
  
 このように、糖尿病の治療には数々の検査が必要です。それらのすべては、より良い血糖コントロールを維持し、合併症を進行させないためのものです。各検査の意味と目標値をよく理解し、そして自分の検査値を記録し、自分でからだの状態を把握していくことが必要です。
  
東海市民病院 ホーム 糖尿病教室トップ    このページは 2003年9月30日公開 2003年9月30日更新