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Tsubono Report
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最新の医学専門誌に報告された、 がん・栄養・環境リスクに関する疫学研究を紹介します。

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高繊維食で、糖尿病患者の血糖値が低下。



糖尿病患者が、1日50gの高繊維食を6週間続けたところ、空腹時血糖が142mg/dlから130mg/dlに下がった。テキサス大学のグループによるこの研究は、ニューイングランドジャーナルオブメディシンの2000年5月11日号に報告された。

米国糖尿病協会が最近定めた、糖尿病患者の食事ガイドラインでは、食物繊維を1日あたり20-35g摂取するよう勧めている。この背景として、高繊維食による血清コレステロールの低下作用が確認されていることがある。

いっぽう、高繊維食が血糖コントロールを改善する可能性も以前から指摘されていたが、同協会のガイドラインは、この点については、まだ確認が不十分と判断している。


補給剤を使わずに工夫

研究グループでは、この米国糖尿病協会のガイドラインにもとづく、1日24gの繊維を含む食事(協会食)と、これをさらに上回る1日50gの繊維を含む食事(高繊維食)の、血糖改善にたいする効果を比較した。ちなみに、研究者らによれば、米国民の食物繊維の摂取量は、1日平均17gである。

成人発症型糖尿病の患者13人に、どちらか一方の食事を6週間食べてもらい、7日間のあいだをおいて、他方の食事を6週間食べてもらった。どちらの食事を先に食べてもらうかは、ランダムに決めた。患者の全員が経口糖尿病薬を飲んでいたが、インスリン注射は行っていなかった。

「協会食」と「高繊維食」では、食物繊維の量以外は同じになるようにした。いずれも、エネルギーは2300kcal、エネルギーに対する脂肪の割合は30%となるようにした。「高繊維食」では、添加食品や補給剤を使わず、自然の食品材料のみによって繊維(とくに水溶性繊維)を取るようなメニューを作成した。このために、グレープフルーツ、オレンジ、パパイヤ、さつまいも、オートミールなど、繊維に富んだ食品を多く使った。


血糖も血清脂質も改善

その結果、「高繊維食」を6週間食べた後と、「協会食」を食べた後を比べると、空腹時血糖の平均値は、142mg/dlから130mg/dlに下がった。1日尿糖排泄量も、2.3gから1.0gに下がった。血清インスリン濃度も、12%低下した。

同時に、血清総コレステロールの平均値が、210mg/dlから196mg/dlに下がった。中性脂肪やLDLコレステロールの値も低下した。

以上の結果から研究者らは、米国糖尿病協会のガイドラインを超える量の食物繊維を食べることで、糖尿病患者の血糖コントロールが改善されると結論している。


副作用の検討が必要

研究者らによれば、糖尿病の血糖コントロールに対する高繊維食の効果を調べた研究はこれまでも行われているが、結果は一致していない。その一因として、無作為割付が行われていなかったり、繊維だけではなく他の栄養素(脂肪など)の構成も、高繊維食群とコントロール群で異なるなどの問題点があった。

これらの問題点を注意深く考慮した上で、他の栄養素の量が同じでも、食物繊維の量だけを高めることによって、血糖値が改善することを示した点に、今回の研究の意義があるだろう。

その反面、1日50gもの大量の食物繊維を長期間食べつづけることができるか、また、その場合の副作用(脂肪の吸収障害や腹部症状など)の頻度や程度については、少数の対象者(13人)を短期間(6週間)調べただけの今回の研究からは分からない。より大規模で長期間の臨床試験が必要だ。

論説を寄せた米クレイトン糖尿病センターの研究者は、今回の研究でみられた空腹時血糖の改善の大きさは、一般的な経口糖尿病薬の効果にも匹敵することを指摘し、薬物療法に先立って食事療法を徹底することの重要と述べている。


研究デザイン 無作為割付臨床試験(クロスオーバー試験)。

論文の出典 Chandalia M, et al. Beneficial effects of high dietary fiber intake in patients with type 2 diabetes mellitus. New England Journal of Medicine 2000;342:1392-1398.

論説の出典 Rendell M. Dietary treatment of diabetes mellitus. New England Journal of Medicine 2000;342:1440-1441.