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   糖尿病の食事療法について( 2000.10.13)

   はじめに

   「糖尿病」と聞いてまず思うのは何でしょうか?
  なんとなく本や雑誌、TV等で見聞されたことがあるでしょう.そのくらいポピュ
  ラーな病気になってきていますが、現状はというと40歳以上の10人に1人は糖尿
  病ないしその予備軍だといわれています. まずは簡単にどういう病気なのかにつ
  いてご説明しましょう.

   1) 糖尿病とは?

   「尿に糖が出る病気」…ではありません. 血液中のブドウ糖(血糖)が正常域を
  越えて高くなった状態のことです.
  …ということは血液を調べないとなかなか分からないのですね.

   2) 糖尿病の主な症状

    全身倦怠感…体がだるい.疲れやすい.
    
体重減少・…食べているのに体重が減る.
    
食欲亢進、空腹感…食べても食べてもお腹がすく.
    
多飲、多尿・…夜間何回もトイレにいく.
    
口渇…・夜間に喉が渇いて目覚めることがある.
    
視力低下
    
歯槽膿漏
    
手足のしびれ、冷感、むくみ、かゆみ
    
性欲減退、月経不順
    
化膿しやすい
   …はじめは無症状で、いったいいつから病気にかかったのか分かりにくいので
   す.

   3) 重要なリスクファクター(危険因子)

   高血圧、高脂血症、肥満、喫煙、ストレス.これらがいくつも重なると、危険
  であるということになります.

   4) 良好なコントロール目標

   糖尿病は血糖値を「コントロール」していくことが大切になります.以下は、
  正常値ではなく、目標とされる値です.

    食前血糖値(空腹時)110mg/dl 以内
    食後血糖値(食後2時間)180mg/dl 以内
    HbA1C(ヘモグロビンエイワンシー) 6.5%以内
    標準体重を守る…標準体重(Kg)=(身長m)2×22

        
   5) 糖尿病の治療-なぜ食事療法が必要なのでしょうか?

   a. インスリンを節約するため

    肥満があるとインスリンの働きが悪くなり、血糖を下げるためにたくさんの
   インスリンが必要になります.少ないインスリンを有効に使うために肥満を改
   善する必要があります.このために食事療法が大切.

   b. 膵臓の負担を軽くするため

    膵臓からのインスリンの分泌が少ない場合は、膵臓の負担を輕くして休養を
   与える必要があります.そのためには毎日決まった量の食事をとるようにしま
   す. 1日 の食事量は同じでも 1度にたくさん食べれぱやはり膵臓に負担をかけ
   てしまいます.砂糖など急激に血糖を上げるものも同様です.このために毎日
   決まった量の食事を3食にわけ、早食いしないことが大切.

   ここでチェック!!

   当てはまるところに○をしてみましょう.
     食事時間が不規則である
     食事を抜くことがよくある
     外食が多い
     夕食が遅い(午後9時以降になる〉、または夕食後に何か食べる
     お腹いっほい食べないと気が済まない
     主食を大盛りにする
     肉、魚などの主菜を1人前以上食べる
     野菜、きのこ、海藻などをあまり食べない
     油っこい料理がすき
     味付げの濃いものがすき
     アルコール飲料をよく飲む
     お菓子、くだものが好きでよく食べる
     早食いである
     ドカ食いをする
     テレビや新聞をみながらの「ながら食い」をする
     つまみ食いをよくする
     目に付くところに食べ物がおいてある
     つイライラするとつい食べたり飲んだりしてしまう
     食べ物、飲み物などの誘惑に弱い
     食べ物を残すことができない

  いかがでしたか?

   ◎5個以上10個未満の方…要注意です.黄信号は止まれの予告.
   ◎10個以上の方…赤信号が見えます.さあ早く止まらないと.

   どれも日常何気なくしている行動です.セルフ・コントロールの大切さを分かっ
  ていただけましたでしょうか?

   糖尿病の食事療法について,第2回(2000.12.13)-New

   食事療法を始めましょう

   これから糖尿病の治療を始めようとするならぱまず食事のとり方をマスターし
  ましょう.食事療法は糖尿病治療の基本であり,食事がうまくコントロールでき
  ていないとその他の治療法を併用しても十分な効果を上げることができません.
  この
「コントロール」というのは糖尿病の治療上とても重要なキーワードになっ
  てきますので覚えておいてください. 食事が上手にできた方は他の治療 (運動療
  法・薬物療法)も上手くいくということです.血糖値を正常にし,高血糖にしない
  ようにすること = 安定した血糖コントロールを保っていくことが治療の目的です
  から,血糖を左右する「食事」は重要なのです.

  1) どんな内容の食事をとれぱよいのでしょうか?

   潜尿病になると「食べられない」とか「病人食」を半強制的に食べ続けなけれ
  ばならないなど,制限されると感じる方が多いのは事実です.しかし実際は特別
  な食事ではなく,「健康を保つための正しい食事」です.もちろん無制限に食べ
  ていいことはありません.暴飲暴食はさけなければなりません.大切なのは、自
  分の体にとって,適切な量を栄養の偏りなく食べるということです.これは健康
  的なダイエットと同じで,体重を上手にコントロールするための理想的な食事の
  とり方といえるのです.

  2)基本的な考え方

   まず規則正しい食生活です.食事はきちんと1日3回、朝・昼・夕とも食べましょ
  う.朝食を抜いたり、夜寝る前に食ぺたり,間食をとりすぎたり不規則な食べ方
  はしないようにしましょう. また,1日の摂取量は正しくても朝の食事がおろそ
  かになったり,夕食にぱかり御馳走を頂くのも困ります.1日3回・ほぼ等分にし
  て食べ,好き嫌いや偏食のないようにして腹八分目に慣れるようにしましょう.

食事療法の2つの原則

1 .エネルギーの量を適量にする.とりすぎははもちろん,足りないのもよく
ありません. 自分に一番良い量を守りましょう.標準体重を保っていくため
に必要な量だと考えてください.

2. 栄養のバランスをとる.糖質,たんぱく質,脂質,ビタミン,ミネラルな
どのバランスをとりましょう. 栄養のバランスが整っていれば,エネルギー
制限の下でも上手に体重を落とすことができます.

   以上のように, 2つの原則が守られていれば特別な食材を用いなくても十分な
  治療食といえます.この原則をよく読んでみると,食事は「質」と「量」が大切
  であるということを言っているのが理解できますね.

  次回はその「質」と「量」の決め方についてです